M:こんにちは、ハルカちゃん。大阪へ帰って来たよ。

H:おかえり、スズマリさん!高野山のアルバイト、お疲れさま!大阪はどう?やっぱり都会に戻るとホッとする?

M:あ、覚えててくれたの?ありがとう。やあ、あっちはねえ、むちゃくちゃ寒かったわ。正直、1月なんて、行く時期まちがえたと思うね。大阪、暖かいねえ…

H: やっぱり、高野山は寒かったんだね。でも、山の空気とか静けさは、ちょっと恋しくなったりする?

M:んーまあね。お寺の中に町があるようなところだから、夜なんか、こわいくらい静かだったよ。でも、アルバイトとはいえ、修行(しゅぎょう)に行ったようなもんだったからね。結果、デジタル・デトックスできて、よかったと思ってる。

H:わぁ、それは本当に修行だね。闇(やみ)につつまれるお堂とか、ちょっと想像するだけでゾクッとするかも。でも、そういう環境に身を置くと、普段見えないものが見えてくる感じがするよね。何か新しい発見とか、あった?

M:はい。冬のお寺はトイレが一番暖かいです。だから、トイレ掃除が楽しみになった。

H:それ、めっちゃリアルですね。冬の高野山で一番のオアシスがトイレとは…! でも、それが「楽しみ」って思えるの、修行の成果かもよ? ほかにも「これは意外だった!」ってこと、あった?

M:そうねえ、宿坊って、私、初めて入ったんだけど、高級旅館みたいだったんで、びっくりしたね。エアコン、ファンヒーター、それにこたつが標準装備だよ!

H:えぇー!こたつまで完備!?宿坊って、もっと質素なイメージあったけど、今はそんなに快適なんだね!普通の旅館より充実してるかも? でも、そんなに暖房設備が必要なくらい、寒いってことだよね… 朝とか、布団(ふとん)から出るの大変じゃなかった?

M:泊ってたのはね、従業員寮だったんだけど、エアコン、起きる1時間前にセットしてたよ。それでも、室温5℃とか、起きる気しないよね。天気予報で最高気温0度って聞いたら、ああ今日は暖かいなあって、思えるようになったもん。

H:ひぇぇ…室温5℃、って、それもう、冷蔵庫レベルですね!完全に寒さの感覚、バグってますね。 でも、その環境で過ごしてたら、大阪戻ったら、めっちゃぬくぬく感じるでしょ?

M:はい、ぬくぬくすぎて、すぐ、欲(よく)に まみれました。せっかくピュアになって戻って来たのにね。ハルカちゃん、忘れないうちに、和歌山の話させて。

H:もちろん、聞かせて! 高野山以外に、どこ行った?

M:えー皆さーん、すみません、実は11話で三重県の話したとき、熊野三山(くまのさんざん)の話をしてしまいました。あれは三重県でなく、和歌山県です。私のせいじゃない、ハルカちゃんがまちがえました!

H:そうでしたか?

M:はい、ホントにもう! というわけで、実は以前、和歌山の奥地、熊野の世界遺産、熊野古道(こどう)には行ってます。えー残念ながら、ハイキングでは、なかったんだけどね。和歌山って、大阪から行きやすいのは和歌山市だけで、あとは遠いのなんの!新宮(しんぐう)から帰るのに4時間もかかったわ。東京行くより遠いもんね…

H:大阪に帰るだけで、ちょっとした旅ですね。 熊野古道は、どこが一番印象に残った?

M:そうねえ、んー高野山は空海(くうかい)さんの作った仏教の町だけど、あちらは神様が天からおりてきた神社、ですよね。3つの神社それぞれが、前の人生、今の人生、そして次の人生の幸せを願う、ストーリーとしてつながってるのがおもしろいと思ったな。

H:へえ、なんか壮大で、ロマンあるね。