M:このあいだ、名古屋から奈良へ行くのに、近鉄特急、使ったよ。奈良は新幹線通らないから、近鉄の方が便利なのよ。「ひのとり」って知ってる?
H:名前は聞いたことがあるけど、具体的な情報はあまり知らないかもしれないな。どんな感じだったの?
M:また、知らないの!困ったな。2020年3月デビューの特別特急だよ。また、大変な時にデビューしたもんだね。あのねえ、車体が真っ赤できれいし、何と言っても速い!止まった駅がたった一つだけだったよ。三重県の「津」。みなさん「つ」です。一音だけですが、三重県の中心の町です。そして、私は三重県を通って奈良に行ったわけなの。今日は三重県の話をしましょう。
H:「津」って一音で面白い名前ですね。三重県といえば、伊勢神宮が一番に思い浮かびます。伊勢神宮は日本の重要な神社で、それから、美味しい伊勢うどんも!
M:食いしん坊発動したね。でも、今日は神様の話で行くよ。私も伊勢神宮には行ったことあるの。何回も。小学校のとき、学校の先生と行ったね。それから、日本語学校から、留学生連れて行ったこともある。何で重要なのかな、ハルカちゃん。
H:伊勢神宮は「アマテラスオオミカミ」をまつる神社で、日本の皇室と深い関わりがあります。日本の皇室の祖先とされています。
M:そうねえ。皇室の方々も、ときどき神宮にいらっしゃってるね。私みたいに、名古屋から特急乗って!お墓参りですね、アマテラスの。どんな神様なのかな。
H:太陽の女神で、国の安定と豊かさを守る存在とされています。
M:うん、日本で一番有名な女の神様ですね。一方で、日本で最初に引きこもりをした方でもいらっしゃいます。しかも、原因は、弟の神様の家庭内暴力です。それで、天岩戸って洞穴(ほらあな)に入っちゃったのよねえ。
H:伊勢神宮は、その洞穴から出てきた場所とされています。内宮(ないぐう)と外宮(げぐう)の二つの本殿があり、20年ごとに建て替えが行われることでも知られています。
M:あのさ、何で20年ごとか、知ってる?
H:この周期により、神社が新しい状態を保ち、信仰の中心として重要性を維持できると言われていますね。
M:おーえらい、えらい。これは知ってたね。神社を建てる技術を受け継ぐのに、20年間隔がちょうどいいみたいね。20年前に建て替え経験した若者が、20年後には次の世代に教えられる職人になってる、ってこと。
H:昔は寿命が短かった時代もあったから、技術の受け継ぎが確保されるように工夫されたのかもしれませんね。
M:そして、神宮と信仰は永遠に続きます。建物の新しさは関係ないってところが、日本らしいな。西洋は石で作って、絶対壊れないように残そうとしてる感じがするなあ。
H:イタリアのフィレンツェやスペインのグラナダなどでは、石づくりの建築技術が長い歴史を持ち、伝統的な技法が今でも使われています。そして、古代からの技術やデザインが守られています。
M:ああ、なるほど。技術を受け継がなきゃいけないのは同じだね。でも、日本はそれを宗教儀式にしてしまったところが、おもしろいねえ。
H:日本の伝統と信仰の一部ですね。
M:何度も生まれ変わる伊勢神宮は、私の乗った「ひのとり」、不死鳥の名前にふさわしく、生き続けています。三重県には、他にも神様スポットがあるかな?
H:熊野市に熊野本宮大社があります。この神社も、皇室や貴族による熊野古道の巡礼の目的地でした。